農機具の相続税評価ってどうなっているの?

父が亡くなって、家族で相続の話しになりました。土地や建物の相続税は理解できるのですが、実家は、農業を営んでいて、農機具にも相続税がかかると聞いたので少し調べてみました。知人によれば、買った金額の7割が相場だと聞きましたが、実際はもっと細かく評価されるようです。

農機具の相続税評価について知り得た情報を整理してみました。

そもそも相続税評価対象なのか?

答えは、Yesです。相続税の課税対象となる「家庭用財産」に該当します。「家庭用財産」には、農機具以外にも自動車や宝石、家電や家具、電話加入権、書籍や書類などが挙げられます。家庭用財産の評価は、1個もしくは一式で評価します。

特に5万円以下の価値しかない場合には、5万円以下の価値の相続品をまとめて「家財一式10万円」と評価します。農機具は、5万円以下ではないので、1個ずつ評価することになります。

動産なのか?不動産なのか?

答えは、動産です。正式には、「一般動産」といいます。私の場合、農機具とはトラクターやコンバインを指していたので、動産というのはすぐに納得できました。トラクターやコンバインは、エンジンついて動くから動産というのはわかりやすいです。そういう意味では、自動車やバイクと同じ扱いなのです。しかし、脱穀機などはどうなるのでしょうか?不動産?動産?

田んぼや畑以外で不動産になるものはあるのか?

答えは、あります。例えば、農機具を収納している小屋などは、「農業用施設」となり、その土地や建物は課税対象ですが不動産になります。ただし、移動できないことが不動産の要件なので物置は課税対象にはなりません。

よって、先の脱穀機などは動かせるものにあたるので動産になると整理しました。私の場合は、持ち運べる脱穀機でしたが、同じ脱穀機にも動かせる大きさのものと、設備のようなものもありますので、詳細は、専門家に聞いた方がよいでしょう。

知人によれば、アンカーにより地面に固定されたら施設になるとも聞きました。でも、アンカーボルトで固定しても外せば動かせるので、これも専門家に聞いた方がよいでしょう。

農機具はどうやって評価するのか?

農機具のような「一般動産」は、「調達価額」で評価します。「調達価額」とは、課税時においてその財産をその現況でもって取得する場合の価値をいい、調達価額が明らかでない場合は「新品の小売価額-償却費の合計額又は減価の額」となります。

減価償却するには、耐用年数を知る必要があります。後述しますが、減価償却のための耐用年数は国税庁が定めているので、耐用年数も見定めて相続課税対象か否かを見定めた方がよいです。

買った金額の7割が相場は間違いか?

調達価額が明らかでない場合は「新品の小売価額-償却費の合計額又は減価の額」となるので、償却時の価値によって評価が異なりますので、7割で評価されるというのは比較的新しい農機具の場合かもしれません。買った金額の7割と思い込んでいると評価額よりも多かったり、少なかったりするので、きちんと評価をして、相続品の価値を定めた方がよいでしょう。

初心者にも農機具を自作することは可能か?

償却時の価値はどうやってわかるのか?

国税庁のホームページには、農林業用減価償却資産の耐用年数表があり、農業用設備は7年、林業用設備は5年などの記載があります。平成20年に法改正がなされたようなので、しっかりと最新の情報を仕入れることが大事ですし、ホームページに情報が掲載されているので、簡単に調べることもできます。

面白いのは、牛や馬などの生物にも耐用年数があり、役肉用牛は6年、乳用牛4年など細かく設定されています。動物以外にも植物にも耐用年数があり、桃樹は15年、くり樹は25年、柿樹は36年となっています。

「桃・栗3年、柿8年」なんていうことから考えるとちゃんと柿の耐用年数の方が長くなっています。

農機具の相続税についてのまとめ

父が亡くなったことをきっかけに、農機具の相続税評価についてまとめました。農機具は、一般動産として耐用年数に応じた価値により相続税の評価を行った価値が課税評価になります。このまま農家を続けるには農機具は必須なので使い続ければよいのですが、農家をやめてしまうには、農機具の売却も検討しなければいけません。

そのときに、少し課税のことも考えて売却しないといけないなと思いました。私の場合、買った金額の7割というのを信じると税金を多く支払うことになったので、調べたことが実益にもなりました。

相続について

次に、相続税だけではなく、相続についても調べました。故人の遺産を相続するのは、「遺言書」か遺言書がなければ、「遺産分割協議書」というものを作成しなければいけません。この「遺産分割協議書」は、相続対象者全員の相続割合を記載して、相続対象者全員が実印を押印し、法務局に届け出ます。

届け出ることで法的に有効になります。これは、裁判所でも有効な証拠として扱われますし、不動産の名義変更の際に必要となる書類でもあるので、「遺産分割協議書」がないと不動産名義の変更ができなくなります。

届け出ないとどうなるのか?

多くの善良な親族であれば問題はないのでしょうが、必ずしもそうではない場合には、相続対象者があやふやな状態で放置されると、色々と問題になります。例えば、勝手に売却や貸し出しされていたり、第三者の借金の担保のために抵当権が設定されてしまうおそれもあります。

不動産を勝手にされるのも嫌ですが、直接的には銀行口座の現金を勝手に使われたりもします。その場合、証拠がないと泣き寝入りになる場合もありますので、しっかりと証拠を作る方がよいでしょう。

相続放棄には注意が必要!

少し道をそれますが、善良な親族だと「相続放棄」して、誰かに財産を集約させることがあります。しかし、これには少し注意が必要です。「相続放棄」は、文字通り放棄してしまうので、放棄された相続権は次の法定相続人に移る場合があるようです。

そうすると、その相続人がトラブルを引き起こすことになるかもしれません。これを回避するには、「遺産分割協議書」の中で、相続割合をゼロとしておき、ゼロ相続するということがよさそうです。

まとめ

最愛の父を亡くし、悲しみに暮れているのに、相続で親族間でトラブルとなってしまうのは、心苦しい限りです。親族間の無用なトラブルを避けることはもちろん、正しい相続税評価を行うことで追徴などの課税を避けることも重要です。

農機具の相続税評価をきっかけに、相続自体の方法や手続きも知りえました。こういったことは、身内に故人が出て初めて調べることだと思うことと、それぞれの家庭での状況がことなることもあり、私の家にズバリ当てはまるケースを見つけることは困難でしたが、きちんと評価して相続することが重要であることの認識に至りました。

農業を続けるか否かにかかわらず、しっかりと課税対象の評価をして、「遺産分割協議書」による相続手続きをしたいと思います。